2018メキシコの旅

世界のテキスタイルを巡る旅、2018年はメキシコへ!

メキシコシティ→オアハカ→サンクリストバルデラスカサス→カンクンという11泊13日の旅程で、オアハカ近郊とチアパスの手仕事をメインに、死者の日を体感してきました。

まずメキシコシティでは、Museo de Arte Popural(民芸博物館)を拝見。ここには、メキシコ全土の伝統的な織物や刺繍、ビーズ絵画や張り子などの作品が並びます。ふむふむ、メキシコの手仕事は、こんなに楽しくて、不思議な世界なんだ!

テオティワカン遺跡にも行きました!一番高いピラミッドを登って、メキシコの風を感じます〜!メキシコでは、「やっほー!」のかわりに、「オラー!(やぁ!の意味)」と叫びます。不思議と共通してるんですね〜

今回の旅のメインとなるオアハカでは、中心地はもちろん、近郊の村々を訪れました。

オアハカの中心地では、死者の日のお祭りが行われていて、街中が可愛らしい骸骨のモチーフや、マリーゴールドで彩られていました。

パレードもとっても賑やか!私も一緒になって踊りまくりました!

街の中心にあるMuseo Textil de Oaxaca(オアハカテキスタイルミュージアム)は、おしゃれな建物の中に、オアハカ州のかなり古い作品も展示されていて見応えたっぷりです。

 

子ども向けに、メキシコの織物を学べるブースも!!

オアハカ近郊の村、テオティトランデルバジェは、綴織のタペストリーの聖地のようなところです。

いたるところに織り工房があって、職人さんがタペストリーを織っています。たまたま観光客の少ない日で、村はのどかな良〜い雰囲気。

じりじりする日差しの中でしたが、ユニークな絵柄のタペストリーがいっぱいの道を歩くのは楽しすぎて時間を忘れます〜!!

トルティーヤをつくる女の子のタペストリー。レストランにて。

織り子さんたちも、ひなたぼっこ。おやつの木の実を分けてくれました。

村一番の有名人、アイザックバスケスさんの工房を訪れると、運よくご本人がいらして、染めに使う材料や織り風景を見せてくださいました。

材料となる羊毛は、青は藍、黄色はペリコーンという花、茶はシルサッチェという植物、赤はコチニールというサボテンに寄生する昆虫と、メキシコならではの染料で染めるのだそうです。

羊毛を紡ぎ、染め、織り、仕立てる。この村の職人さんは全ての仕事がとても丁寧で、作品のクオリティーも高く、職人魂と遊び心を兼ね備えていました。

そしてレストランで食べたケサディーヤもめっちゃおいしかった〜〜!

翌日訪ねたサンマルティンティルカヘッテ村では、村で植えているコパルという木を切り出して、アレブリヘスと呼ばれる、動物や架空の生き物のカラフルな彫刻を作っていました。

これがまたすごく独特で魅力的!

村一番有名な、ハコボ・マリアさんの工房では、ご本人の作品と一緒に、たくさんの若い作家たちが木彫り、着彩を手がけていて、制作風景を見学させて頂けます。真剣な眼差し…!

村を散策しているなか、アレブリヘスの女性作家・ルーシーさんに出会いました。

彼女は子育てもしながら、自宅の工房で素晴らしい作品を生み出していました。

彼女のつくる動物たちには、見るものを惹き付ける、不思議なエネルギーがあります。ひとつひとつに魂がしっかり宿って、まるで生きているよう。

彼女の制作風景を見たとき、その理由がわかりました。描く模様は、サポテコ族の文字で形成されてひとつひとつ意味持っています。天然素材からできた絵の具を何層にも重ね、微細に美しく模様を描かれた動物たちは、最後に彼女のサインを刻まれて、息を吹き込まれていくのです。

作家として、彼女をはじめ、この村の方達の制作姿勢にとても感銘を受けました。

 

翌日は、サントトマスハリエサ村を訪問。

この村では、古くから伝わる腰織りによる綿織物が制作されていました。

太い綿糸で織られたテーブルセンターやバッグはとっても使いやすく、かわいらしいデザイン。細い糸で織られた民族衣装・ウィピルは、他では見られないシンプルなデザインが魅力的でした。 

村の小学校の壁面にも、腰織りをするひとが!生活に浸透しています。

 

オアハカ中心地から少し離れた丘の上にある、Centro de Artes de San Agustin(サン・アウグスティンアートセンター)にも行ってみました。

丘の上にある、19世紀の織物工場をリノベーションした建物の佇まい、すごくかっこ良かった!

楽しすぎたオアハカを離れ、山間をバスで移動すること11時間、次の目的地、チアパス州のサンクリストバルデラスカサスへ。

この地域では、今でもマヤ族が古くからの暮らしを続けています。Wifiカフェと民族衣装のコラボレーション!

羊を飼い、その毛を紡ぎ、羊毛そのままの色や風合いを活かした味わい深い毛織物も、標高が高く寒い地域ならでは。ほっこりした手紡ぎ毛糸に、蛍光色など派手派手な色の糸が組み合わせられていたりする、不思議で魅力的なセンスの作品たちにも出会えます。

中心地からさらに車で一時間程山を登ったシナカンタン村では、腰織りで織ったマントの民族衣装が特徴的でした。羊毛で織られた布にさらに刺繍が施されていて、美しいだけじゃなくとってもあったかい!

女性だけじゃなく、男性も身につけています。私も一枚購入。

織り布に刺繍を施したタペストリーも、楽しい絵柄ばっかり!家族へのお土産に決定です。日常にとけこむような制作風景に感動。

すぐ近くのララインサール村では、マヤ族の伝統的な意味を持つ模様を細かく織り込んだ、美しい織物に出会いました。

土壁の静かな織り工房では、ウィピルを着た女性達が集まって腰織りをしていて、その光景は古くから代わらないマヤの生活そのもののような気がします。

楽しくて、早すぎたサンクリストバルデラスカサス滞在最終日は、街の中心地にあるCentro de Textiles del Mundo Maya(マヤ・テキスタイルセンター)へ。

チアパスやメキシコ南東部のマヤ文化の衣装やテキスタイルを展示している博物館で、その充実度たるや一日見ていても飽きない程。
博物館のすぐ外では、ヒッピー達が集まって大きな市場を開いています。エネルギーとセンス溢れる手仕事の数々に、テンションは上がりっ放し!!
とくに、名物という織り布をつかった動物のぬいぐるみは、ひとつひとつ表情が違い、作り手の個性が見えるなんとも素敵なアイテムで、お土産に複数購入。
バーガーキングとあきんどのびっくりコラボレーション!!!
短い滞在時間でしたが、暮らしと手織りが密接に関わっている、現代と古代が共存している、本当に興味のつきない街でした!
うしろがみを引かれながらも、飛行機でカンクンに移動し、海と、セノーテといわれる天然の泉でのんびりして、旅を締めくくりました。
 
メキシコでは国をあげて手仕事を推進していることもあり、マヤ族をはじめ、色々な民族の古くからの伝統がその作品に息づいています。
また、今回訪れた工房のほとんどの作家さんが、模様などを下書きなしに織ったり描いたりしていて、幼い頃から親子で手仕事を伝え合い、身体に染み付いていることが伺えました。
人々の生活が、手仕事とともにあり、手仕事によって彩られている美しい風景を、メキシコでは見る事ができます。
たくさんのひとの明るさと、優しさと、強さに触れて、熱い気持ちを分けてもらった、大切な旅になりました。
ありがとうございました!!!!!
2019/1 鬼原美希